研究課題/領域番号 |
25670593
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
福嶌 五月 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80596867)
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研究分担者 |
齊藤 哲也 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10644891)
宮川 繁 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師(Lecture) (70544237)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | iPS細胞 / 細胞移植 / 拒絶反応 / 間葉系幹細胞 |
研究概要 |
マウス細胞移植モデルにおける拒絶反応評価手法としてIVIS(in vivo imaging system)を用いた生細胞の定量的な計測を行うため、LuciferaseとDsRedを恒常的に発現するマウスiPS細胞株を作成した。レンチウィルスベクターを用いてCiRAより提供をうけたC57BL/6マウス由来iPS細胞株である959A2-1にLuciferaseとDsRed遺伝子を導入し、in vitroで心筋細胞に分化させた後も、LuciferaseとDsRedを発現していることを確認した。 次に、リンパ球混合培養試験、血清中の移植細胞への抗体価の測定を行った。リンパ球混合培養試験として、iPS細胞を移植したマウスからリンパ球を単離、蛍光物質にて標識後、移植細胞と共に5日間培養し増殖の有無をFACSにおける蛍光強度を定量化した。同時に、移植細胞により免疫したマウスの血清を単離し、移植細胞への抗体の有無をFACSにより定性的定量的に解析した。 同種同型モデルでのiPS細胞の抗原性の評価を行なうため、C57BL/6由来iPS細胞とiPS細胞由来心筋細胞をC57BL/6の皮下に注射し、リンパ球混合培養試験と抗体価を定量的に評価した。その結果、リンパ球混合培養試験では明らかな免疫反応は認められなかったが、抗体価は未分化iPS細胞で上昇していることが確認された。また、C57BL/6由来iPS細胞あるいは、iPS細胞由来心筋細胞を他家であるBALB/cの皮下に注射したところ、移植細胞の生着は認められなかった。 免疫抑制療法の検討のため、BALB/cの皮下にC57BL/6由来iPS細胞を、免疫抑制剤であるタクロリムスの投与下に移植し、移植細胞の生着を評価した。適切なタクロリムスの投与量下では、移植細胞は生着し奇形腫を形成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の目標としては、細胞移植における拒絶反応の定量的な評価方法を確立することであった。In vivoではIVISによる評価方法を確立し、in vitroではリンパ球混合培養試験と抗体価の測定を行なうシステムを確立した。当科での臓器移植における拒絶反応の評価方法を応用することができたことが、この研究において非常に有用であった。iPS細胞の免疫原性を評価し、同種同系移植において未分化iPS細胞の方がiPS細胞由来心筋細胞より抗原性が高いことが明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、今年度確立した移植細胞への拒絶反応の評価方法を用いて、実際の臨床で想定されている他家由来のiPS細胞移植における拒絶反応を評価することを予定している。その上で、骨髄間葉系幹細胞の免疫寛容効果が他家由来iPS細胞移植において有用であるか検討する予定としている。
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次年度の研究費の使用計画 |
予定していた細胞培養にかかる消耗品の費用が予測より低価であったこと、及び実験にかかる費用についても予定より少なくすんだため、平成25年度に予定していた金額より、低い予算で終了となった。 平成26年度は、平成25年度に構築した評価方法を用いて、in vivoでの移植実験を数多く行なう必要があり、細胞培養及び動物実験に必要な費用として、平成26年度に使用する計画である。
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