研究課題
他家iPS細胞由来心筋細胞移植により惹起される免疫反応は、移植された細胞に発現している抗原が「他家」と宿主に認識されることによって発生する"Indirect Pathway"が主な経路と考えられている。iPS細胞由来心筋細胞には抗原となり得る様々な蛋白群が発現していることが予想される。その中でも、最も強力な抗原であるMHC class Iは、MHC-Homoを有するドナーよりiPS細胞を樹立することによりある程度押さえられると考えられる一方、その他のMinor抗原については明らかでない。Minor抗原として最も重要と考えられるのが、糖鎖構造である。糖鎖構造は細胞の分化の過程でダイナミックに変化することが知られており、本年度の研究においては、マウスiPS細胞から心筋細胞へと分化させ、その糖鎖構造の変化を定性的・定量的に解析した。結果、心筋細胞に分化する過程で、様々な糖鎖群が消失するとともに、新たな糖鎖に置き換わり、全体として成熟心筋細胞に近づく傾向が見られた。この知見を専門学術集会ならびに一般学術雑誌にて発表した。これを更に、ヒトiPS細胞とiPS細胞由来心筋細胞にも応用し、糖鎖群の種類は大きく違うものの、より成熟心筋に近づくという同様の知見がヒトにおいてもが得られ、専門学術雑誌に投稿している。今後は、この新しい知見を応用し、これらの糖鎖群が抗原として宿主に認識され、免疫反応を惹起するかなど検討していく必要があるものと考えられる。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)
PLoS One
巻: 9(10) ページ: e111064
10.1371/journal.pone.0111064