我々は、病的近視において眼球形状異常が視覚障害を起こすことを明らかにし、眼球変形自体を是正する治療法の確立を試みた。ラットを片眼遮蔽することによる眼軸長延長を伴う病的近視モデルを作成し、このラットを用いてヒト間葉系幹細胞移植による効果を調べた。その結果、移植された幹細胞がコラーゲンを産生するとともに、屈折度の近視化が有意に抑制され、眼軸長の延長も有意に抑制されていた。光学顕微鏡所見でも細胞を移植されたラットでは強膜の肥厚が観察された。以上から、ラットは病的近視の動物モデルとして有用であり、強膜後方への間葉系幹細胞の移植により局所でコラーゲンが産生され、病的近視を抑制できることが示された。
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