家兎を用い、全身麻酔下に空腸組織粘膜血流観察ステージを作成し、血行動態をモニターしながら粘膜血流をLaser Dopplerスキャン法で測定した。空腸壁に生理食塩水を浸潤して壁応力を0~+12mmHgまで変化させた場合、個体・腸管系の血行動態変化はみられず、粘膜血流に有意の変化はきたさなかった。大腸菌内毒素 1mg/kgを静脈内投与した実験的敗血症モデルでは、空腸壁応力変化はみられず、粘膜血流は投与60分~90分後の観察で有意に低下した。管腔臓器である腸管において、病的浮腫による想定範囲(~+12mmHg)の組織応力増加は、感染に伴い放出される血管作動性メディエータの影響を凌駕しない。
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