本研究課題では、免疫学的および生物学的観点から現実的かつ有用な歯胚移植医療の適応拡大に向けて、移植歯胚の絶対数を増やすための革新的な歯胚分割技術を構築した。分割された歯胚は、生体内および口腔内で複数本の正常な成熟歯に発生することが明らかとなり、その分割メカニズムは、機械的外力による歯胚の形成領域の再領域化によるものと示唆された。さらに、口腔内にて発生したそれぞれの分割歯は、生理的な歯の移動が可能であると共に、中枢と連携した神経機能を有することが明らかとなった。本研究の推進により、器官原基の分割発生メカニズムの学問的知見の集積と共に、生物学的な歯科再生治療の実現可能性が示された。
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