競争関係にある複数企業が競争力強化のために行う水平的提携は、独占禁止法においてその競争効果をどう判断すべきか。水平的提携では多様なガバナンス構造が選択可能であるが、市場競争に与える影響は、提携に参加するパートナー企業の利潤がどのように分配されるか(profit sharingの行われ方)に着目して分析できる。実務上の提言として、①水平的提携は合併よりも競争制限効果が弱いという通念が妥当しない場合があること、②少数株式取得規制については協調的行動の弊害に射程を限定すべきであること、③水平的提携の競争効果分析にあたっては、当事会社の意図や目的を十分に斟酌する必要があること、を論じた。
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