研究課題
本研究は人工骨髄微小環境を構築するという目的を達するために、生体内の骨髄環境をマウスおよびヒトにおいて詳細に解析を行ってきた。その詳細な解析から骨髄微小環境に存在する造血幹細胞を生体外で維持できるのではないかという仮説がある。現在までに、申請者は生体内の骨髄環境を理解することでマウスの生体内においてiPS細胞からの造血幹細胞誘導に成功している (2013. Mol Ther).また、骨髄微小環境と造血幹細胞は生体内の概日時計に依存しない仕組みで細胞周期を制御していることも報告している (2014 JNR).さらには、マウスだけではなくヒト造血幹細胞や骨髄微小環境における基礎的な研究を行ってきた(2015 Exp Hematol, 2015 Kimura).これらの報告は全て人工骨髄を構築するために行ってきた研究成果の副産物ではあるものの、とても重要な論文となっている。今後においても幹となる研究に取り組みつつ、副産物研究も産んでいくことにする。また、申請者は工学系研究者と共同研究を行っており、様々なバイオマテリアルを構築する手技を学んだ。具体的には細胞を1つ目的の位置に配置すること、細胞を接着させる足場を平面ではなく様々な構造により培養させることなどを構築している。また、骨はチタニウムと接着することから人工の骨髄を作成する足場をチタニウムにより作成しており、現在はチタニウムにおける3Dプリンターを用いて作成を試みている。
1: 当初の計画以上に進展している
本研究に関して2年が経過したが、当初の計画の半分以上は達成したといえる。まず、3次元イメージングにおける骨髄微小環境の解析は透明化技術とシートレーザー顕微鏡の組み合わせにより迅速かつ容易に解析が可能になった。また、人工骨髄となるマテリアルに関してはすでに3Dプリンターを用いることにより完成している。残りの研究に関しては現在進行中のであり、次年度には結果が詳細になると考えてる。
今後の研究は、現在作製中のRCAS/TVAマウスの解析を最優先することにする。理由としては、当マウスを用いることで造血幹細胞が骨髄中のどの場所に存在しているかを特定する鍵となることからである。また、当マスウは生体内において造血幹細胞特異的にウイルスを感染させ遺伝子を導入することが可能であることから、マスウはもちろん、人工骨髄においてもツールとして有用なシステムである。また、人工骨髄構築としては、工学研究者と共に行っており、引き続きそれを継続する。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 謝辞記載あり 8件、 オープンアクセス 3件)
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