研究課題/領域番号 |
25730090
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
石崎 千景 名古屋大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 講師 (00435968)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 裁判員 / 法的判断 / 判断傾向 / 重みづけ |
研究概要 |
本年度の研究実績は主に次の2点であった。第一に、模擬裁判実験で用いる実験刺激(模擬裁判シナリオ)を選定し、その提示時間や提示方法(映像提示、音声提示、テキスト提示など)を検討した上で、当該刺激の編集を行った。最終的に、刑事訴訟法を専門とする大学教員によって作成された模擬裁判映像刺激(殺人事件)を改変・短縮化し、冊子状にまとめた模擬裁判シナリオを作成した。 第二に、上記の模擬裁判シナリオを用いて、次の模擬裁判実験を行った。まず、参加者に模擬裁判シナリオを提示した。その後で参加者は、被告人による証言の信頼性、有罪無罪判断、仮に有罪となった場合の量刑判断等について回答した。その際、模擬裁判シナリオにおいて、被告人と関連する複数の情報(素行など)を独立変数として操作した(3要因被験者間計画)。質問紙調査の結果と評議の発話データに対して分析を行い、裁判員の評価レベルの観点と、行動レベルの観点から、被告人の証言に対する信頼性評価がどのように変化するかを調べることで、事案に含まれる情報間の関係性によって各情報の重みづけがどのように変化するのか検討を試みた。さらに、そうした情報の重みづけの変化によって、裁判員の有罪無罪判断、量刑判断、被告人が犯人であることの蓋然性判断がどのように変動し得るのかについても、あわせて検討を試みた。現在までに130人程度のサンプルを得た。160人程度を目指しており、サンプル数の蓄積を行っているところである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度の模擬裁判実験では160人程度のサンプル数を目指していたが、現在までに得られたサンプル数は130人程度であったためである。しかしながら、目標数まではあと30人ほどであり、次年度以降の研究計画に対して大きな影響を及ぼす可能性は低いと考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度に得る予定であった残り30人ほどのサンプル数を追加するとともに、これと並行して、予定されていた次年度の研究計画を遂行する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
次年度への繰越金が発生した主な理由は、得られたサンプル数が目標数を下回ったことで、実験に要する諸経費が残額として生じたためである。 被験者謝金、出張旅費等、研究計画の遂行にかかる諸経費として使用する予定である。
|