本研究では、言語進化、とくにラベル獲得の進化的・発達的基盤のひとつの要因として近年注目を浴びている「感覚間一致」に着目し、その進化的起源を探るため、比較認知科学的なアプローチを施した。とくに、順序と空間の間の感覚感一致について分析を行ってきた。その結果、チンパンジー、オランウータン、アカゲザルといった動物種においてヒトとよく似た順序と空間の間の感覚感一致が知覚されていることがわかった。また、チンパンジーを対象に行った追加研究では、とくに脳の半球優位性がこの知覚に影響を与えること、更には実際にこの順序と空間を処理する認知リソースが重複を持っている可能性が示唆される結果を得た。
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