重要な情報が、他の情報に重畳あるいは近接して突発的に出現すると、その情報を見落としやすいことが知られている。近年、現実場面に電子的な情報を付加呈示する拡張現実(Augmented Reality:AR)の実用化が急速に進んでいるが、AR環境はまさに見落としが生じる条件を満たしていると考えられる。そこで本研究課題では、重要情報が呈示される視野位置と背景情報の関係を検討し、見落としが生じにくい安全で快適なAR環境の実現に資することを目的とした。複数の実験の結果、背景刺激が特定方向のオプティカルフローを生じさせる場合、重要情報の呈示位置によっては見落としの回避可能性が高まることが示唆された。
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