本研究ではポリアミンが関与する新たな海洋生物の石灰化機構を提唱し,海洋生物の骨格形成に及ぼす沿岸汚染の影響を検証することを目的とした。その結果,沖縄本島南部地域の琉球石灰岩分布地域において,地下水経由で海域に流出する栄養塩の物質負荷量を算定し,農業活動との関係を定量的に明らかにすることができた.サンゴの稚ポリプ生物活性試験により,硝酸塩に比べてリン酸塩がサンゴの石灰化を強く阻害すること,リン酸塩の種類によってサンゴの石灰化を阻害する度合いが異なることを明らかにした。また,地下水中の浮遊する懸濁物質にはリン酸塩が多く吸着されており,各形態のリン酸塩を海域へ供給していることを明らかにした。
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