研究課題
重度視覚障害者や学習障害者に対して、マークシート形式の採用により冗長化、煩雑化した試験問題を用いて学力測定を実施することは望ましくない。本研究は、このような受験者の有効な学力測定を実現するために、大学入試センター試験に代表されるマークシート重依存問題(問題の表現がマークシート形式に強く拘束される試験問題)をマークシートへの依存を軽減した試験問題に改変する翻案手法を開発する。マークシート形式に変わる解答形式としてオーソドックスな記述形式が存在するが、識別力の一致を実現するため、元問題を翻案するアプローチを採用する。1. 視覚障害学生を対象としたモニター調査(実験)を実施し、特に今年度は(1)それぞれ個別の分析を行い(2)調査横断的な総合的知見の析出を行った。(1)センター試験相当の数学問題をマークシート形式問題と記述形式問題で出題した調査については、マークシート形式の煩雑さに関わる負担の大きさが報告された一方で、必要数の実験参加者確保の困難さから定量的な結果を導くことが難しいことが判明した。センター試験「英語筆記」過去問から、パターン化されたマークシート重依存問題を抽出し、これを軽依存問題へ翻案したものとの間で比較を試みたモニター調査では、実験参加者の確保が容易となるとともに、より本研究の趣旨に即した調査が実現された。調査実施後、回答作業プロセスの考慮の有無など分析方法について検討を加えた。定量的な結果としての好評を計画している。(2)実験参加者確保の難易度や試験問題の有する識別力を総合的に考慮した場合、障害のある受験者を参加者とするモニター調査では英語(筆記)試験問題を用いることが有望な選択肢となることが確認された。2. 計算機上で構造化された形態でマークシート重依存問題を補完すれば、これを軽依存問題に適宜変換して出題可能であることが確認された。今後の研究発展に期待できる。
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Assistive Technology: Studies in Health Technology and Informatics: AAATE 2015
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