本研究の目的は,プレッシャー下における知覚-運動系,注意,情動の関係性を解明することであった.研究の結果,プレッシャー下では環境に対する知覚の正確性が低下する可能性が示された.また,正確性と速度の両方が求められる眼と手の協応課題においては,速度よりも正確性を重視する方略が採用され,視覚探索率が増大する結果が示された.さらに,プレッシャー下で生じる知覚,注意,運動制御,運動方略の変化が身体の情動反応やその過剰亢進の影響を受ける可能性が示された.これらのことから,プレッシャー下では知覚・注意の変化,身体の情動反応,ならびに運動制御・運動方略の変化が相互に影響することが確認された.
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