研究課題/領域番号 |
25750379
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 京都文教大学 |
研究代表者 |
松井 愛奈 京都文教大学, 臨床心理学部, 准教授 (40377007)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 保育環境 / 想定外 / 遊び / 子ども / 発想 / 保育者 / 対応 |
研究概要 |
本研究は,保育における子どもと物理的環境とのかかわりにおいて「想定外の使い方」に焦点を当て,(1)想定外を捉える枠組みの構築 (2)想定外の意義と発達的変化 (3)想定外の使い方に対する保育者の考えや対応の把握 (4)想定外を生かす環境構成のための具体的な指標作成を目的とする。 本年度は,保育者に対する質問紙調査および保育現場における観察調査を実施した。 質問紙調査(子どもと保育環境とのかかわり[7つの具体例]と保育者の対応/実際の経験に基づく想定外の使い方の具体例と対応,理由/想定外の使い方についての考え/保育環境についての考え)は,保育所2園,幼稚園1園の保育者を対象に実施した(回収数46)。子どもの発想の豊かさやアイディアに感心し,想定外を受けとめる一方で,集団における安全性を確保するため想定外の使い方を認めにくい現実も見出された。想定外の使い方を認めない場合でも,子どもの発想やおもしろさは認めたいという葛藤や,代替物の提案がなされる事例もあった。さらに,想定外の使い方の許容範囲の判断が難しいこと,保育者の対応を一貫することの必要性も指摘された。 保育所2園(2013年5月~継続中/2013年8月),幼稚園2園(2012年6月~継続中/2013年10月)において,VTRや写真撮影,筆記記録による自然観察を実施し,保育所2園の2歳児クラスのデータ(2010年8月~2011年3月:25日間/2013年5月~12月:14日間)を分析した。想定外の使い方をしながら笑いを伴う,その使い方を周囲にアピールする事例があり,その際,子どもたちに想定外の認識があると考えられる。また,周りの子どもも同じように想定外の使い方を行って遊びが広がった事例においては,相互作用の開始場面において暗黙的な方略が用いられたことにより活動が盛り上がる(隅田[松井],2003)ことも見受けられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
保育者に対するアンケート調査、幼稚園および保育所における観察調査研究を進め、2013年度は学会発表2回(口頭発表、ポスター発表)を実施し、2014年度は学会発表1回(ポスター発表)1回行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
国内における観察調査研究を進め、事例の収集と分析を継続する。 また、2014年度にはニュージーランドにおける保育施設における観察調査、保育者に対する質問紙調査およびインタビュー調査を実施する。 2015年度には、これまでの調査研究に基づいて、最終的な分析と考察を進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度必要な物品が想定していたよりも安価で購入できたこと、データ入力やアンケート配布等をアルバイトに依頼する予定であったが、今年度は不必要であったため、未使用額が生じた。 来年度は、ニュージーランドにおける調査を予定しており、それに伴う物品や交通費、謝金等の支払いが多く生じる。今年度の未使用額についても、海外調査にかかる費用や調査,研究発表に必要な経費として支出する必要があると予想される。
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