複数の木材を接合して造られた日本の11世紀中葉以降の木彫技法を検証するため、東大寺十二神将のうち子神(ねのかみ)像と丑神(うしのかみ)像を対象に、3Dレーザースキャナによる計測調査や模刻実験を行った。そして両像の3Dデータを投影図化し、一方を反転させ原寸で比較した結果、頭体の概形がシルエット状に近似した。さらに頭体を構成する木材の接合位置からの断面線を比較すると、詳細な一致が認められた。 先行研究でもこの時代における図面(彫刻の設計図)の使用は示唆されていたが、本研究によって、彫刻の概形を示すシルエット状の図面だけでなく、木材の接合面にも断面線のような図面を用いていた可能性が濃厚となった。
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