本研究の目的は、1300年頃書かれたラテン語宗教作品『愛の疼き』を校訂することであった。中英語の翻訳作品と比較する際の基本テクストを得るためである。このために、14世紀の終わり頃にイングランドで流通していた7つのラテン語写本を比較してきた。 イングランドで行った二度の調査旅行により、多くのデータを得ることができた。しかし、ラテン語写本と中英語翻訳を詳細に比較するうちに、中英語翻訳は7つのラテン語写本のどれからも翻訳されなかったかもしれない可能性が出現した。 このため、本研究は成功したとは言い難いが、これまでの調査により、大陸ヨーロッパで書かれたラテン語写本にも目を向ける必要性が明らかになった。
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