本研究の目的は中国の近代を官僚社会の変化から観察することにあった。というのも、清朝後期より増加の一途をたどった官僚たちは、国初以来の職務はもとより、数多の新規事業を担うこととなった。中央官僚は日々に拡大する隣接業務のほか外交など新たな分野の運営に携わり、地方官僚もまた近代化事業や商業振興といった新事業を通して濃密に地域社会へと分け入った。こうした彼らは辛亥革命にも柔軟に対応し勤務を続けた、中国の近代の結節点でもあった。 先行研究のほとんど存在しない彼らにつき、本研究では当時の官僚名簿『同官録』や各種民営新聞を分析・整理してータベースを作成、研究基盤の作成を行うとともに国内外で成果の発表を行った。
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