研究課題/領域番号 |
25780069
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松尾 健一 大阪大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (80388040)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | EU証券規制 / 不公正取引規制 / イギリス証券規制 / フランス証券規制 / 高頻度取引 / HFT |
研究概要 |
本年度は、EUの証券規制に関連する指令、報告書等の収集・整理作業を開始し、1980年代以降の規制の展開に関連するこれらの資料を時系列に沿って整理する作業をほぼ終えた。 同時に、EU証券規制の歴史的展開を記した代表的文献の通読と主要な部分の翻訳作業を開始し、予定通り進捗した。 EU証券規制に関連する文献の調査・渉猟を開始し、とりわけイギリス・フランスにおける不公正な証券取引の規制の展開と、その運用状況を知ることができる重要な文献に行き当たり、これらの内容をまとめて論文を作成することにした。 イギリスについては、証券規制に関連する裁判例だけでなく、わが国の金融庁に相当する行政機関が下した処分についても、処分対象となった不公正な取引の概要、処分の内容、処分の根拠等を網羅的に調査する上で有用な文献が見つかり、これをもとにさらなる調査の準備を進めている。 フランスについても、証券規制に関連する裁判例とともに、行政機関による処分例について、規制の創設以降の主要な事例を紹介する文献が見つかり、これをもとに1次資料等のさらなる調査に向けた準備を進めている。 また、研究の準備段階では予想していなかった規制の展開も見られたため、そのような動きをフォローするための作業も進めている。とりわけ高頻度取引と呼ばれる取引と不公正取引との関係については、EUにおいても議論が進んでおり、これをフォローをする必要性が高いと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
EU証券規制に関連する指令、報告書等の収集と整理については予定していた作業をほぼすべて終えた。 イギリスの規制の調査については、現地調査を予定していたが今年度中には実施できなかった。もっとも、現地に赴かなければ入手できないと考えていた資料の大半を整理して紹介した文献を発見したため、当該文献をもとに現地調査において入手すべき資料を特定しておくことで、より効率的に現地調査を進められると思われる。 フランスの規制の調査についても、わが国の金融庁にあたる行政機関が証券規制の運用状況をまとめた文献を発見したため、今後の調査等をより効率的に進められると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
まず、ほとんど手を付けられていないドイツの証券規制に関する調査を開始する。定評のある解説書の最新版の入手とともに、裁判所・行政機関による規制の運用状況を効率的に知るための方策を早急に見つけたい。 イギリスの規制については、証券規制の運用状況をまとめた文献をもとに調査を進め、現地調査を効率的に行うための準備をする。 フランスの規制についても、その運用状況をまとめた文献をもとに調査を進め、現地調査を効率的に行うための準備をする。 これらの作業と並行して、これまでの研究成果を公表するための作業を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
イギリスでの現地調査を予定していたが、日程の調整がつかず実施できなかった。このため旅費に未使用額が生じた。文献の購入を前倒しで実施することによって調整した結果、物品費が計画を上回ったが、旅費の未使用分を吸収できなかった。 旅費の未使用分については、現地調査を平成26年度に実施することにより、使用する予定である。
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