今回の研究では、まず、次の2つの成果をあげることができる。第一に、ドイツ法を参考に格付機関の格付に対する信頼と金融機関の取締役の責任を考察したことである。これにより、ドイツの判例を参考に、取締役のいわゆる証券化商品の取引に係る投資決定の場合、格付を入手し、それを無批判に信頼しただけでは不十分な情報に基づく経営判断であることの成果を得た。第二に、EUの格付機関規則に関して、格付機関の民事責任につき、基礎的研究としてその成立にいたるまでの議論の整理を行ったことである。なお、第二の問題は、引き続き研究途上にある。
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