研究課題/領域番号 |
25780100
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
中井 遼 立教大学, 法学部, 助教 (10546328)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 比較政治 / ラトビア / エストニア / ナショナル・プライド / 領土問題 |
研究実績の概要 |
前年度に国際ラージN研究のペーパーについては,英文学術雑誌への投稿を繰り返しているものの,掲載決定通知を獲得するには至っていない。本論文については引き続き修正と投稿を繰り返す所存である。事例研究に関しては,前年度に実施した東欧圏での世論調査を基にした予備的分析のペーパー2つを,それぞれ国際学会で報告した。そのうち1つの内容については,さらに深い分析を必要とするものであることから,次年度以降に最終的な論文とすることを企図する。もう1つのペーパーについては,学会における議論を踏まえて修正し,英文学術雑誌への投稿を開始した。 本研究の派生として生まれた,安井清峰氏との共同研究(選挙近接が領土紛争に関する外交へ与える影響の検討)については,国際学会での報告を実施し,また英文学術雑誌への掲載が決定した。一般に領土問題をめぐって,ある政府がその所有・請求権を取り下げるのは,一般国民の政治意識上きわめて受け入れがたい決定であると想定されるが,そのような意識を考慮した政府の外交決定上の差異が,選挙近接の違いによってもたらされていることを,比較事例分析を通じて明らかにした。 以前より続けていた東島雅昌氏との研究成果も刊行された。選挙近接に伴う有権者の政治意識変化の影響は,各国の政党システムの影響に相当程度影響をうけることを明らかにした。ただし,この点に関して,かならずしも特定党派の支持者が強く意識を変化するとは限らない可能性がある。一般に,特定党派を支持する人々は政治的洗練の度合が高く,選挙近接に伴う短期的な影響に対しては頑健であり,むしろ無党派層にこそ強く影響を及ぼす可能性が先述の予備的ペーパー準備過程で明らかになった。ただし本点はラージNかつ多変量解析による検証を経ていないため,その検証が次年度以降の課題となると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究自体は進めているが成果刊行については苦闘している状況である。本点については,引き続き,繰り返しの修正と投稿を進めるより他ない。また,当初計画では,今年度に別の諸地域での事例研究を実施することを企図していたが,研究代表者の所属状況の変更などにより,現地調査の実施に困難を抱えるなどの問題が発生した。 他方で,本研究計画立案時に想定していなかった派生研究については,順調に進展しており,2015年度中に成果に結びついた。この事はポジティブな要素であると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
2016年度は本研究課題の最終年度にあたるため,成果のまとめを執り行う必要がある。ただし,本研究課題の進捗状況はかならずしも従前とは言えないことから,確実な成果を期待できる事例研究に基づく論文刊行を優先事項としたい。国際ラージN研究については,さらなる研究事業の継続事項とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
身分変更に伴い,当初立案時に想定していたフィールドワークを実施することができなかった。また,所属変更に伴い,学会報告について別予算からの支出が可能となったため,特に国際学会での報告のために想定していた予算支出が抑えられた。
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次年度使用額の使用計画 |
当初の研究計画通りに,成果の公表と刊行を目指した研究活動を実施する。ただし,前年度に支出しなかった出張費があるため,学会報告を増やすこととする。
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