研究概要 |
平成25年度は、生活保護基準の決まり方の制度を歴史的な経緯を振り返りながら整理し、国際比較に関する先行研究をまとめた。Immervoll (2009)によると、OECD諸国の公的扶助額を比較すると、日本の生活扶助基準は国際的にみて必ずしも低いとは言えないことが分かった。さらに、『全国消費実態調査』の集計データによる都道府県別の生活保護基準の決定要因について分析を行った。都道府県別生活保護基準は、生活扶助(単身、第1類費+第2類費)+期末一時扶助費+住宅扶助実績値の人口加重平均とした。この都道府県別生活保護基準が消費者物価地域差指数、消費支出、年収第1・五分位の影響を受けているか否かについて分析を行った。分析の結果、生活扶助+期末一時扶助費を被説明変数とした場合、物価が上昇すると生活扶助基準が上昇することが示された。さらに、生活扶助基準+期末一時扶助費+住宅扶助実績値を加えたものを被説明変数とした分析を行ったところ、消費者物価指数が上昇すると生活扶助基準+期末一時扶助費+住宅扶助実績値が高くなり、年収第1・五分位の額が高くなると生活扶助基準+期末一時扶助費+住宅扶助実績値が低くなる事が示された。以上は、社会保障審議会生活保護基準部会(2013)で示された実際の消費支出と生活扶助基準との乖離が見られるという結果と整合的である。 参考文献 Immervoll, Herwig (2009) “Minimum-Income Benefits in OECD Countries: Policy Design, Effectiveness and Challenges,” IZA Discussion Paper, No.4627. 社会保障審議会生活保護基準部会[2013]「生活保護基準部会報告書」厚生労働省
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