本研究は、日本の豊富な家計調査データを用いて、個人の所得・健康状態と健康増進プログラムとの相関・因果関係を定量的に把握する為、(1)所得格差と健康格差の関連性、(2)再分配政策の健康状態による所得格差に与える影響、(3)特定健康診査の健康増進効果の三つのテーマに関する実証研究を行った。①日本における健康に関連した所得格差は増加しつつあるが、所得分布の分位点によって、また所得の種類によって大きく異なること、②社会保障の負担は分布の下位にある人の健康関連の所得格差を拡大する傾向があること、③特定健診の導入が健康状態の向上、喫煙習慣、医療費の支出等には明確な効果は認められないことが判明した。
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