この研究の目的は、1940年代半ばから1970年代初頭にかけての日本における、養成工の役割を明らかにすることである。この研究での養成工とは、「企業内訓練施設で3~4年間訓練された中学卒業者もしくは企業内訓練施設に在籍中の中学卒業者」と定義できる。本研究では、養成工の役割を解明するため、特にトヨタ自動車、デンソー、日立製作所に焦点を当てた。明らかとなった点は以下の点である。(1)養成工は工業高校に優る実習教育を受けていたこと、(2)卒業後は工機・試作・保全部門などの高度技能を必要とする職場に配属されていたこと、(3)労働組合員あるいは労働組合役員として、労使関係に影響を与えていたことなどである。
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