本研究は,起業家へのインタビュー調査を行い,ベンチャー企業の事業化プロセスにおいて生じる経営課題の抽出を行った。これら経営課題は事前には予想することができなかったもので,ベンチャー企業の存続を脅かすようなものであった。これはStinchcombe(1965)が指摘する新しさゆえの脆弱性と呼ばれるものであった。次に,このような経営課題がなぜ生じるのか,理論的に検討を行った。それは2つの視座に基づいて検討された。すなわち,決定論的視座と主意主義的視座である。新しさゆえの脆弱性が生成されるプロセスを解明するためには,主意主義的視座が有効であることが確認された。
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