本研究の目的は、感謝表出の社会的機能について検討することであった。感謝表出についての調査の結果、様々な感謝表出のうち、笑顔やお礼を言うといった形態の行動が、受け手の「感謝された」という認識を引き出すことが示された。また、感謝表出の有無を操作した実験室実験では、他者から支援されたとき感謝表出を受けると、受け手は表出者に対して好感を抱くことが示された。さらに、感謝表出の有無だけでなく、そこに感謝の気持ちが伴っていたかについても操作したシナリオ実験では、受け手が「感謝された」という認識をしていたとしても、被支援者が感謝の気持ちを表出しなければ、その後支援してもらいにくくなることが示された。
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