本研究の目的は、社交不安障害に対する認知行動療法の治療効果を高めるために、治療技法であるエクスポージャーを効果的に実施する技法を開発することであった。情動調整方略のひとつである認知的再評価(psychological distancing)を行っているときのfMRI画像データを再解析したところ、社交不安の高い者は認知的再評価に関わる眼窩前頭前野を活性化できていないことがわかった。また、状態不安が喚起されるとワーキングメモリ容量が増えることや、筆記開示や向社会的な意識をもつことによって対人交流場面におけるポジティブ感情が高まることが社交不安の高い者を対象とした実験によって明らかにされた。
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