本課題は、認知症高齢者に対する援助技法として注目されている動作療法の心理的効果・認知的効果に対し「動作療法による姿勢制御機能の改善が高齢者の認知機能に及ぼす影響」および「認知症高齢者に対する動作療法の心理的効果」という2つの観点から検証を行った。前者では、動作療法による姿勢制御機能および認知課題処理能力の改善が観察され、その効果要因として「姿勢制御に多く割かれていた情報処理資源が認知課題に分配されることによる影響」を指摘した。後者の研究では、動作療法による継続的な介入によって日内リズム障害などの認知症の周辺症状に改善が観察された。また、周辺症状によって効果的な動作課題が異なる可能性を指摘した。
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