通常、不均一系触媒である担持金触媒を調製するためには、金(III)イオンを担体にする金属イオンとともに水酸化物としその後焼成する方法(共沈法)や、担体の金属酸化物表面に水酸化金(III)として沈殿させその後焼成する方法(析出沈殿法)がよく用いられている。これらの共通は、金(III)イオンを水酸化物として沈殿させることであり、狭いpH領域(pH~9)に調整する・誘導するために沈殿形成剤として炭酸ナトリウムや水酸化ナトリウムを用いている。しかしこの条件では、酸性担体が溶解してしまうために、担体効果を考える上では非常に都合が悪い。研究代表者はこの点を改善するために、簡便な方法として硫化物析出沈殿法(SDP法)を用いて、酸性担体へ金を担持させる方法を開発した。しかし、この方法は完全には確立されていない。そこで、この方法の確立を目指して触媒調製を行い、簡単な触媒反応とともにX線吸収分光やメスバウアー分光法などを用いてキャラクタリゼーションをすることを目的としていた。 酸化アンチモン担持金触媒をターゲットにした場合は、水に一部溶解するため、硫化物に迂回するルートで触媒調製を行った。金は担持出来たものの、XAFSから粒子径は大きいと見積もられた。ただ、メスバウアー分光法は国の施策と許可官庁の関係で全く測定ができなかった。不均一系金触媒の一般的な触媒能である一酸化炭素の二酸化炭素への酸化活性を測定したが、活性は出なかった。第15属の酸化物ということが影響している可能性が示唆された。
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