本研究では、非線型分散型方程式に於ける散乱作用素の諸問題と、解の平滑化効果について考察した。関数解析的手法を用いることで、次の研究成果を得た:(1)空間1次元非線型ディラック方程式の非線型項がp乗冪である場合、pが3より大きければ散乱作用素が適当なヒルベルト空間の原点近傍上で定義できることを証明した。(2)空間3次元非線型ディラック方程式の非線型項が3乗冪である場合、重み付きソボレフ空間の或る原点近傍の散乱作用素による像は同じ重み付きソボレフ空間の部分集合となることを証明した。(3)ハートリー項を伴ったシュレディンガー方程式に於ける解析的平滑化効果に関する諸性質を証明した。
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