原子核は核力によって束縛する、多数の核子(陽子、中性子の総称)からなる量子力学的多体系である。本研究では核子系のダイナミクスを精密に記述し、未知の原子核の予言や宇宙核物理で必要な反応率の信頼のおける評価を目指した。実施された3年間で研究は大きく進展し、その成果は14編の原著論文及び総説、13件の国内外学会における招待講演によって成された。特に精密波動関数を用いた原子核構造、反応研究に大きな進展があり、原子核における殻的・分子的状態の統一的記述や、不安定原子核の励起応答、実験の困難なニュートリノ-原子核反応等を非経験的に記述することに成功した。
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