研究課題/領域番号 |
25800162
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
瀬川 麻里子 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力基礎工学研究センター, 研究員 (00435603)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 天体核 |
研究概要 |
204Tl-204Pb天体温度計は遅い元素合成(s-過程)が起きる恒星内温度を調べる重要なプローブであるが、天体温度計として機能させるには娘核204Pbの中性子捕獲反応の高精度断面積値が必要不可欠である。そこで本研究では、204Tlの娘核204Pbについて、その中性子捕獲反応断面積を宇宙初期の恒星内温度に相当するエネルギー(8 keV)で測定し、s-過程元素合成が起きている恒星内温度を解明する事を目的とする。 本研究は中性子捕獲反応断面積の小さい204Pb捕獲反応断面積の捕獲反応直後に放出される不連続な即発γ線(真の信号)を測定する。即発γ線を高感度で検出しその断面積を高精度で決定するため、実験は高強度のパルス中性子が得られるJ-PARCにおいて、新たにLaBr検出器を用いてガンマ線のTOF及びエネルギーを測定する。 本年度は主検出器(LaBr)のガンマ線に対する応答特性に関する知見を得た。実験は、Alターゲットに加速した陽子を照射し、発生したガンマ線(~10MeV)をアンチコンプトン型LaBr検出器で測定した。Alの共鳴を利用したガンマ線のエネルギーは、1~10MeVと広い範囲にわたり、検出器の性能を実験的に求めた。 当初、本研究の実験的な鍵となる遮蔽体設計のため、J-PARC・BL04のANNRI[Geスペクトロメーター群]の現空きポートにLaBr3検出器を挿入し、パルス中性子と204Pb試料を用いガンマ線の信号/雑音比を測定し、遮蔽体製作に必要な基礎情報を取得する予定であった。しかし、平成25年度初頭にJ-PARCの運転計画が急きょ変更になった事により、本研究も計画を変更し上記の検出器の性能評価を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度初頭にJ-PARCの運転計画が急きょ変更になり、予定していた実験が実施できなくなったため。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度に、遮蔽体設計のため再稼働したJ-PARCのBL04にてLaBr検出器を用いたテスト実験を行う。パルス中性子と204Pb試料を用い信号/雑音比を測定することで遮蔽体製作に必要な基礎情報を取得する。平成27年度:本実験及び解析: 製作した遮蔽体を用いてJ-PARCにて本実験を行う。197Auと濃縮204Pb試料から中性子捕獲反応断面積を決定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度初頭に発生したJ-PARCの運転計画の変更により、予定していた実験が実施できなくなったため。 再稼働したJ-PARCにて基礎実験を実施し、その結果に基づいて実験用消耗品と遮蔽体を購入する。
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