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2013 年度 実施状況報告書

反応拡散系との対比で考える新しい地震サイクル理論

研究課題

研究課題/領域番号 25800245
研究種目

若手研究(B)

研究機関東京大学

研究代表者

鈴木 岳人  東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (10451874)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード熱 / 流体 / 空隙生成 / 非線形 / 解析解
研究概要

申請者は、熱・流体圧・非弾性な空隙生成という三つの効果を考えて、地震の多様な振る舞いを説明してきた。大まかに言って、摩擦発熱の効果が効くと流体圧が上がって滑り易くなり加速する。一方空隙生成の効果が効くと流体圧が下がって減速する。本研究では空隙率に上限を仮定することにより、それら両者が時間差を持って現れ得る場合を考えた。まず流体拡散を無視すると、正規化された滑り速度と空隙率に関する支配方程式系を得る。ここにはSuとTaという2つの無次元数が現れる。これによる系の最終的な振る舞いは、高速滑りと自発的停止に二分される。本研究ではそれを分離する関数を解析的に導けたことが重要である。その関数GはSu, Ta及び滑り速度の初期値の関数であり、G>0の時高速滑りが、G<0の時自発的な滑りの停止が起こる。またここまで用いてきた方程式系に拡散の項を加えると、ゆっくりした地震も含めてより多様な現象の説明が可能となった。
上で述べた関数Gの物理学的応用性も重要である。例えばある種の化学反応を記述する方程式系が、本研究で現れたものと本質的に同じであることが分かり、その振る舞いの予測に対する応用性が明らかになった。G>0ならば系はある物質で満たされ、G<0ならばその物質は消滅することになる。地震学に対してだけでなく、物理学的成果も得るという当初の目標が達成されたと言える。
今後は二次元系で考察することが今後の課題となる。特にモーメントと滑り時間の関係を詳しく調べると、震源の多様性の理解に大きく貢献できると考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

上述のとおり、地震学だけにとらわれず物理学的成果も得るという大きな目標が達成されたからである。

今後の研究の推進方策

上でも述べたが、本モデルを二次元系で考察する。手法としては今度は数値的なものが主になるであろう。研究協力者との意思疎通も十分できているので、研究遂行上特に困難な点はないと思われる。

次年度の研究費の使用計画

論文投稿料の支払いが当該年度中に終わらなかったことが大きな理由である。論文を早目に仕上げようと思ったが、有益な発見が後から見出されたので、それも含めてまとめるのに時間がかかってしまった。
時間がかかったものの論文が受理・発表されたので、その支払いに使われることになる。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] Effects of shear heating, slip-induced dilatancy and fluid flow on diversity of 1-D dynamic earthquake slip2014

    • 著者名/発表者名
      Suzuki, T. and Yamashita T.
    • 雑誌名

      Journal of Geophysical Research

      巻: 119 ページ: ページなし

    • DOI

      10.1002/2013JB010871

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Damage-tensor-based Nondimensional Parameters Governing Secondary Faulting Behavior2013

    • 著者名/発表者名
      Suzuki, T.
    • 雑誌名

      Tectonophysics

      巻: 600 ページ: 205-216

    • DOI

      10.1026/j.tecto.2013.02.034

    • 査読あり
  • [学会発表] Analytical Treatment for Deriving the Constitutive Relationship and the Function Governing the System Behavior in the Framework associated with Heat, Fluid Pressure and Inelastic Porosity

    • 著者名/発表者名
      Suzuki, T. and T. Yamashita
    • 学会等名
      2013 AGU Fall Meeting
    • 発表場所
      San Francisco, USA
  • [学会発表] Two Different Fault Slip Behaviors Generated by Modified Porosity Evolution Law

    • 著者名/発表者名
      Suzuki, T. and T. Yamashita
    • 学会等名
      IAHS-IASPO-IASPEI Joint  Assembly
    • 発表場所
      Gothenburg, Sweden
  • [学会発表] Slip Acceleration and Spontaneous Slip Cessation Generated by Interaction Among Heat, Fluid Pressure and Inelastic Pore Creation

    • 著者名/発表者名
      Suzuki, T. and T. Yamashita
    • 学会等名
      10th Annual Meeting of AOGS
    • 発表場所
      Brisbane, Australia
  • [学会発表] 熱・流体・空隙生成系における摩擦力-滑り量関係及び典型的滑り量の導出

    • 著者名/発表者名
      鈴木岳人・山下輝夫
    • 学会等名
      日本物理学会第69回年次大会
    • 発表場所
      東海大学、神奈川県
  • [学会発表] 空隙生成系の振る舞いを支配する関数の導出とその応用

    • 著者名/発表者名
      鈴木岳人・山下輝夫
    • 学会等名
      日本地震学会2013年度秋季大会
    • 発表場所
      横浜市国際会議場、神奈川県
  • [学会発表] 熱・流体・空隙生成の相互作用による断層破壊過程の理解とその応用:モデルと解析解

    • 著者名/発表者名
      鈴木岳人・山下輝夫・波多野恭弘
    • 学会等名
      日本物理学会2013年秋季大会
    • 発表場所
      徳島大学、徳島県

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公開日: 2015-05-28  

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