本研究では,整数上カオス写像の設計と暗号への応用を検討した.簡単な整数演算に基づく一対一カオス写像の構成法を与え,共通鍵暗号方式で重要なS-boxを設計し,既存のAESのS-boxと比較した.その結果,解読耐性となる差分確率が98%向上し,標準的なCMOSプロセスで実装した場合,回路面積72%, 消費電力84%の改善を達成した.また,計算機実装で有用となる2べき剰余環上で一対一写像となるChebyshev写像に基づく公開鍵暗号系の安全解析を行い,その暗号が多項式時間で解読可能となることを明らかにした.
|