磁性粉末の圧粉成形において,圧粉体を強加工によって高密度化するために摩擦援用押出し,及び背圧付加を用いた押出しによる強加工圧粉を行った. 平成25年度は研究進捗に合わせ計画を変更し,平成26年度に予定していた薄肉円筒形状の磁性粉末成形体を摩擦援用押出しによって成形を試みた.しかしながら,円筒形状の側壁部分は結合されず崩れたため圧粉体の底部分のみの密度および強度を評価し,強加工の効果を評価した.また,サーボ制御2軸プレスの製作を行った.磁性粉末は非常に延性が低いため摩擦援用押出しで薄肉円筒形状に圧粉成形することは難しい事が明らかになった.摩擦援用押出しによって粉末を塑性流動することによって密度は向上するが,非常にわずかであることが明らかになった.圧粉体の強度は強加工によって大幅に向上することが明らかになった. 平成26年度は以上の結果を踏まえ,単純圧粉後に背圧を付加した押出しによって強加工を加え,円柱および厚肉円筒形状の圧粉体を成形する強加工圧粉法を開発した.また,磁性粉末に含むボンド剤の量を低減し,強加工によって必要な強度を確保して磁性粉末の割合を向上することを試みた.製作のサーボ制御2軸プレスを用いて,単純圧粉した圧粉体に背圧を加えながら押出しをする強加工圧粉によって,円柱および厚肉円筒の圧粉体を欠陥なしに成形した.磁性粉末に含まれるボンド剤を減らして圧粉を行っても,強加工圧粉によって強度が向上するため,必要強度を確保したまま磁性粉末の密度を向上することができた.成形後の断面において,単純圧粉は粉末状であったが,強加工圧粉では研磨後に金属光沢が見られ,高い硬さを有していた.強加工圧粉された円筒ボンド磁石の圧環強度は,単純圧粉と比べ約60%程度向上した.
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