2011年の福島第一原発事故においてベント設備が十分に機能しなかったことは事故の深刻化を招いたことの一つとして認識されている。このためベント設備の改善は安全対策の一つとして意義深い。本研究はこの改善に貢献するための低融点合金を含浸した金属製多孔質フィルターの創成を目的として、Sn-Bi系合金を含浸した酸化物分散強化型鋼製フィルターを研究開発した。これはある温度(共晶点)以上になれば低融点合金が溶け出して自然開孔、自動的にベント機能が発現する、また、放射性セシウムや放射性ヨウ素に対しても多孔質フィルターのコールドトラップ効果によりその外部放出を低減する効果も期待できるものである。
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