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2014 年度 実施状況報告書

シヌクレイノパチーにおける抗糖尿病因子アディポネクチンの機能解析と治療応用

研究課題

研究課題/領域番号 25830044
研究機関公益財団法人東京都医学総合研究所

研究代表者

関山 一成  公益財団法人東京都医学総合研究所, 運動・感覚システム研究分野, 研究員 (40572764)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード神経変性疾患 / シヌクレイノパチー / α-シヌクレイン / アディポネクチン
研究実績の概要

本研究では、抗糖尿病因子として知られているアディポネクチン(APN)の神経変性に対する作用を検討する目的で、α-シヌクレイノパチーの病態モデル(培養細胞・マウス)に対するAPNの効果を検討してきた。平成26年度は、平成25年度から引き続きヒトα-シヌクレイン(αS)を神経特異的に発現するマウスに対しAPNのC末ドメインである球状APNを鼻粘膜投与した。運動機能異常が顕著でない2~3ヶ月齢のαS発現マウスにAPNを長期間投与した結果、ロ-タロッドやビームテストなどの行動試験においてが運動機能が改善する事を観察した。また、病理学的解析や生化学的解析の結果、球状APNの投与によりαSの蓄積・凝集が改善することが観察された。以上の結果や昨年度おこなったシヌクレイノパチーの細胞モデルに対するAPNのαS凝集抑制の結果から、APNが神経変性の病態を抑制することが示され、本年度米国神経学会誌に発表した(Sekiyama et al., Ann Clin Transl Neurol. 2014)。
αS発現B103細胞において、コントロールと比較し低下したAktなどのインスリンシグナルがAPNの存在下で増強した。また、インスリンとAPNの共添加によりαSの凝集抑制効果が増大することを観察している。さらに、αS発現B103細胞においてAdipoR1のアダプター蛋白でありAktと結合が報告されているAPPL1の発現が上昇していることがわかった。APNシグナルやインスリンシグナルがシヌクレイノパチーの病態に関係していることが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度予定していたシヌクレイノパチーモデルマウスへのAPN投与実験をおこない、その結果を論文発表したため。

今後の研究の推進方策

リコンビナントAPNの添加/投与により、APNがαSの凝集を抑制するなど抗神経変性作用を示すことがこれまでの研究によりわかってきたが、そのメカニズムについての検討を進める。平成27年度は予定どおりレビー小体型認知症(DLB)モデルである変異型βシヌクレイン(P123HβS)発現マウスに対しAPN投与をおこない認知機能低下に対するAPNの効果を検討する。

次年度使用額が生じた理由

αS発現マウスに対するリコンビナントAPN投与実験においてAPNの鼻粘膜投与で十分効果が得られたため、側脳室投与の必要がなくなり次年度使用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

レビー小体型認知症モデルである変異型βシヌクレイン(P123HβS)マウスに対するAPN投与実験のためにリコンビナントAPN蛋白の購入や解析用の試薬の購入資金に使用する。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2015 2014 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (4件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] シヌクレイントランスジェニックマウス2015

    • 著者名/発表者名
      関山一成, 橋本 款.
    • 雑誌名

      細胞

      巻: Vol.47 No.1 ページ: 16-19

  • [雑誌論文] Disease-Modifying Effect of Adiponectin in Model of α-Synucleinopathies.2014

    • 著者名/発表者名
      Sekiyama K, Waragai M, Akatsu H, Sugama S, Takenouchi T, Takamatsu Y, Fujita M, Sekigawa A, Rockenstein E, Inoue S, La Spada AR, Masliah E, Hashimoto M.
    • 雑誌名

      Ann Clin Transl Neurol.

      巻: 1(7) ページ: 479-489

    • DOI

      10.1002/acn3.77

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Role of genomics in translational research for Parkinson's disease.2014

    • 著者名/発表者名
      Sekiyama K, Takamatsu Y, Waragai M, Hashimoto M.
    • 雑誌名

      Biochem Biophys Res Commun.

      巻: 452(2) ページ: 226-235

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Role of APPL-1, in adiponectin/insulin-mediated protection against neurodegeneration in a cellular model of α-synucleinopathies.2015

    • 著者名/発表者名
      Kazunari Sekiyama, Waragai Masaaki, Yoshiki Takamatsu, Makoto Hashimoto.
    • 学会等名
      第38回日本神経科学大会
    • 発表場所
      神戸ポートアイランド 兵庫県神戸市
    • 年月日
      2015-07-30
  • [学会発表] Adiponectin, the anti-diabetic adipokine, has a therapeutic effect in models of α-synucleinopathies.2015

    • 著者名/発表者名
      Sekiyama K, Waragai M, Takamatsu Y, Hashimoto M.
    • 学会等名
      ADPD 2015
    • 発表場所
      フランス、ニース、アクロポリス国際会議場
    • 年月日
      2015-03-21
  • [学会発表] アディポネクチンはα-シヌクレイノパチー細胞モデルのインスリンシグナルを亢進し神経変性の病態を改善する。2014

    • 著者名/発表者名
      関山 一成,高松 芳樹,橋本 款
    • 学会等名
      第37回日本神経科学大会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜 神奈川県横浜市
    • 年月日
      2014-09-13
  • [学会発表] レビー小体型認知症で見出された変異型βシヌクレインを発現するショウジョウバエは神経変性様表現型を示す。2014

    • 著者名/発表者名
      高松 芳樹、関山 一成、本多 芳子、児玉 亨、橋本 款
    • 学会等名
      第37回日本神経科学大会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜 神奈川県横浜市
    • 年月日
      2014-09-11
  • [図書] Autophagy: Cancer, Other Pathologies, Inflammation, Immunity, Infection, and Aging.2014

    • 著者名/発表者名
      Takenouchi T, Sekiyama K Tsukimoto M, Iwamaru Y, Takato Takenouchi, Kazunari Sekiyama, Fujita M, Sugama S, Kitani H, Hashimoto M.
    • 総ページ数
      304 (10)
    • 出版者
      Elsevier Science
  • [備考] 公益財団法人東京都医学総合研究所パーキンソン病プロジェクト

    • URL

      http://www.igakuken.or.jp/parkinson/

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公開日: 2016-06-01  

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