細胞ががん化する際には様々な代謝異常が生じるが、近年これらの代謝異常が、がん細胞の増殖や悪性化に深く関与していることが報告され、がん治療の新たな標的として注目を集めている。 我々は、がん抑制遺伝子RBの機能喪失が、脂質代謝経路、特にメバロン酸経路の多くの遺伝子発現を誘導することを見出した。また、その結果生じるコレステロールやその誘導体脂質が、細胞内ROSレベルを抑制することにより、がんの悪性化形質の獲得に寄与していることを明らかにした。 本研究は、RBによる脂質代謝制御という新たな機能と、その破綻が引き起こすメバロン酸経路の異常な亢進が、がんの悪性化形質の獲得に寄与していることを示すものである。
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