食物や危険物等に由来する匂い分子は鼻腔内に存在する嗅神経細胞によって検出される。嗅神経細胞は外環境からの膨大な種類の匂い分子に対応するために多様な個性を持つ細胞集団として産生されるが、その産生制御メカニズムはよく解っていない。本研究によって、転写因子をコードする“Bcl11b遺伝子”が嗅神経細胞の産生制御メカニズムの一端を司ることが明らかとなった。モデル生物としてマウスを用いてBcl11bの機能を調べた結果、Bcl11bが大きく2種類に分かれる嗅神経細胞の片方の細胞集団にのみ発現し、どちらの細胞に分化するのか方向性を制御することによって、嗅神経細胞の産生に寄与していることを解明した。
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