フィチン酸(IHP)は土壌中の有機態リンの主要な形態の一つであり,IHP分解は植物-土壌圏でのリン循環において重要な役割を果たすと考えられる。アーバスキュラー菌根(AM)菌は土壌から無機態リンを吸収するが,IHPを分解して無機態リンを取り出すことができない。近年,AM菌がIHP分解菌の関与によりIHP由来リンを吸収することが示されたが,どのような細菌が関与しているかは明らかになっていなかった。本研究では,アルギン酸ビーズを用いた改変釣り餌法により,AM菌菌糸圏のIHP周辺で優占するIHP分解菌の分離に成功した。これらの株はAM菌を介したIHP由来リンの吸収に関与すると考えられた。
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