腫瘍抗原は癌細胞に発現するタンパク質であり、新規の診断法や治療法の開発に有用な素材として注目されている。本研究では、犬のB細胞型リンパ腫における新規腫瘍抗原の同定を試みた。 その結果、26種の腫瘍抗原候補遺伝子を同定することができた。それぞれのタンパク質と血清の反応性を調べたところ、リンパ腫に罹患した犬17頭中13頭の血清が、単離された16種のいずれかのタンパク質と陽性反応を示した。一方、10頭の健常犬血清と陽性反応を示す腫瘍抗原候補タンパク質は確認されなかった。今後、反応が認められたそれぞれの組換えタンパク質を作製し、それらを抗原とした定量的ELISAシステムを樹立することを目指す。
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