タウ蛋白を標的とした和漢薬由来認知症治療薬の基礎研究として,タウリン酸化酵素であるGSK-3βの阻害作用を有する黄連解毒湯および三黄瀉心湯の効果を解析した。これらの和漢薬を投与することにより,加齢促進モデルマウスの短期エピソード記憶障害が有意に改善され,その作用機序として,大脳皮質のGSK-3β阻害による神経細胞の機能維持に寄与する蛋白であるCRMP2のリン酸化抑制が関与することが示唆された。一方,リン酸化タウは各群で差がなかったことから,SAMP8大脳皮質ではCRPM2がタウより早期にリン酸化されることが明らかとなり,CRPM2が認知症の早期バイオマーカーとなることが示唆された。
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