本研究により、Wnt5aの受容体として働くRorファミリー受容体型チロシンキナーゼ(Ror1、Ror2)が損傷を受けた脳内で発現誘導されることが分かった。Ror1が発現誘導される細胞は不明であるが、Ror2は損傷領域の活性化アストロサイトで発現誘導されていた。また、培養アストロサイトにおいて、Ror2はbFGF刺激により発現誘導され、静止期のアストロサイトが細胞周期を再開するために必要であることが明らかになった。すなわち、bFGFによるRor2の発現誘導は、損傷を受けた脳内のアストロサイトが増殖を再開するための分子機構として働いていると考えられる。
|