ラット正常腸管上皮細胞株IEC6においてWnt3aとEGFによって協調的に発現し、三次元基質内での管腔形態形成を誘導する新規因子Arl4cを同定した。Arl4cは細胞骨格制御因子であるRacとRhoの活性を調節することで上皮細胞の伸長形態変化を誘導した。上皮細胞の形態変化は増殖制御因子YAP/TAZの核への移行を誘導して管腔形成にともなう細胞増殖を活性化した。Arl4cは胎生期マウス腎臓の尿管芽先端部で強く発現しており、尿管上皮の分岐管腔形成にも関与していた。さらに、Arl4cはヒト大腸がんおよび肺がんにおいて高頻度に高発現し、がんの運動・浸潤能や腫瘍形成能に関与することが明らかになった。
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