研究課題/領域番号 |
25860357
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
姜 秀辰 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 招へい教員 (30644398)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 炎症性腸疾患 |
研究概要 |
炎症性腸疾患は原因不明の自己免疫疾患である。免疫細胞に発現するセマフォリン分子は免疫反応の様々なphaseを制御する機能を有することが明らかとされ、「自己免疫疾患治療の鍵分子」と呼ばれている。最近、申請者によりセマフォリン分子が腸管免疫恒常性維持に重要な役割をすることが明らかにされている。本研究では、炎症性腸疾患マウスモデルや無菌マウスを用い、セマフォリン分子をターゲットにする過敏性腸疾患および自己免疫疾患の発症制御機構の解明するとともに、セマフォリン分子の機能障害抗体を用いた炎症性腸疾患に対する治療効果をマウスモデルを用いて検討することが本研究の目的とする。最近、様々な炎症性疾患や自己免疫疾患の発症及び増悪に関与することが報告されている炎症性サイトカインIL-17とIL-22を産生する非T細胞が見出され、その細胞がLymphoid tissue inducer-like cell (LTi様細胞)であることが明らかにされた。これまでにLTi様細胞は、リンパ節、腸管パイエル板などの二次リンパ組織の形成に重要な役割を果たしていることが示されている。本研究では、Sema4A欠損マウスは炎症性腸疾患マウスモデルにより発症される大腸炎が野生型マウスより抵抗性を示す知見及びSema4A欠損マウスのパイエル板形成に異常がある知見から着目した。パイエル板形成や炎症反応に重要な細胞である自然リンパ球機能制御に関与するSema4A機能の分子メカニズムを明らかにすることと、マウス大腸炎モデルと用いSema4Aの治療効果の検討を行う。該当年度では、自然リンパ球機能制御するSema4Aの生物学作用機構の解明ため、リンパ球が存在しない、RAG2欠損マウスとSema4A欠損マウスを掛け合わせて、ダブル欠損マウス(DKO)を作製し、炎症性腸炎モデルを行った。その結果、DKOはコントロールマウスと比べ、炎症反応が過剰であることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
遺伝的にSema4AとRAG2 両方欠損するダブルノックアウトマウス(DKO)を作製した。自然リンパ球はリンパ球欠損マウスに多く存在するので、我々が作成したDKOを用いて自然リンパ球におけるSema4Aの機能解析ができた。
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今後の研究の推進方策 |
Sema4A・RAG2 ダブルノックアウトマウス(DKO)を用いた炎症性腸疾患における自然リンパ球機能制御における詳細なSema4A機能解析を行う予定である。具体的には、1.自然リンパ球分化及び活性化過程においてSema4A局在の検討、2、Sema4A機能障害抗体を用いた腸疾患に対する治療効果の検討である。このDKOマウスを用いて、炎症性腸疾患におけるSema4Aの機能解析およびこの疾患に対する治療効果を行い、将来、炎症性腸疾患患者に対する治療応用も検討する。
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