研究課題
セマフォリン分子による自然リンパ球活性制御を介した炎症性腸疾患の発症メカニズムを明らかにし、治療応用を目指すことを本研究の目的とする。最近、日本でも食事生活や食べ物が西洋化になり、ヨーロッパや欧米に患者数が多い国と同様に炎症性腸疾患の患者数が急速に上昇している一方、根本的な治療方法が存在しないため、社会的にも問題になっている。セマフォリン分子は神経ガイダンス因子は神経ガイダンス因子として知られているが、我々の研究室により、セマフォリン分子は免疫細胞に高発現し、免疫応答を制御することが明らかになった。一方、本研究により、腸管組織にもセマフォリン分子が高発現し、腸管炎症を制御することを発見した。特に、4型セマフォリン、Sema4Aは大腸組織に発現し、その中でも、リンパ球に優位に発現することを確認した。in vivo実験においても、Sema4A欠損マウスにDSS投与による腸管炎症を誘導すると野生型より体重の減少及び腸の短縮が亢進するなど、腸炎が増悪する結果が得られた。in vitroにおいても、Sema4A欠損自然リンパ球の炎症性サイトカインの産生は野生型自然リンパ球より亢進していた。さらに、Sema4AはCD8陽性Tリンパ球にも高発現することを発見し、リステリア感染による感染性腸炎モデルにおけるSema4Aの機能解析を行なった結果、Sema4A欠損CD8陽性T細胞は野生型よりCD8陽性T細胞のエーフェクター分子であるgranzyme B, perfolin, FAS-Lのは発現が低下していた結果を得た。これらの結果により、Sema4Aは腸管自然リンパ球およびCD8陽性T細胞の活性を制御により、慢性及び感染性腸炎の発症を制御することを明らかにした。
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