研究課題/領域番号 |
25860408
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
山口 奈津 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40450671)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 遺伝子多型解析 / 骨髄移植後合併症 / 炎症関連因子 / インフラマソーム / SNP |
研究概要 |
骨髄移植推進財団から提供を受けている骨髄移植のドナーとレシピエントの1051ペア、計2102検体について、炎症関連因子インフラマソームの構成因子の遺伝子変異と予後の関連を解析した。まず、欧米において移植関連疾患に関与していると報告されているNLRP1-3のSNPのなかで、日本人集団での頻度が0.1以上のもの1個ずつを解析の対象に選択した。これら3 つのSNPにおける遺伝子型を、骨髄移植ドナー・レシピエント由来のゲノムDNAについてTaqMan PCR assayによって決定した。さらにTaqMan PCRの結果がDNAシーケンス直接決定の結果と一致することを、数十検体を用いて確認した。解読したSNPの頻度はHapMap計画等で報告されている日本人集団における頻度とほぼ合致していることからも、解読結果に技術的問題はないと考えられる。これらのSNPの遺伝子型(Genotype)および対立遺伝子型(Allele)と (1) GVHD発症の有無、(2) GVHDの重症度、(3) 骨髄移植後の生存との関連をドナー・レシピエントの双方について統計解析によって調べた結果、以下の有意な関連を認めた。 (1) GVHD発症の有無は、ドナー側のNLRP1のSNPと関連していた。 (2) GVHD発症の重症度は、ドナー側のNLRP3のSNPと関連していた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初解析を予定していた検体数は非血縁者間骨髄移植 400 例のドナーとレシピエント、計800例であったが、その後さらに検体を入手でき、ドナーとレシピエントの1051ペア、計2102検体となった。検体数が予定より増えたため、解析にかかる時間・経費を考慮して、解析対象の遺伝子をNLRP1、2、3のSNPに絞り、TaqMan法によるSNPタイピングから解析を行った。この結果と臨床データとの関連を統計解析によって調べたところ、移植片対宿主病(GVHD)の発症、重症度に関連するSNPを同定することができた。平成25年度は、GVHDの重症度に関連する遺伝子変異を同定することを目的としていたので、研究はおおむね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
同定したGVHD関連SNPについて、インフラマソームの機能への影響を解析し、変異体の機能変化とGVHD重症度との関連を調べる。また、インフラマソームの活性制御機構を応用した、骨髄移植後合併症の新規予防・治療の基盤形成を目標として、患者由来変異インフラマソームの活性異常に対する、既存分子(Pyrin、POP1、NLRP7等)の制御作用を解析する。さらに、インフラマソームの活性異常を制御する新規分子としてASC 変異体を構築し、予防・治療上の有効性を解析する。
|