研究課題/領域番号 |
25860483
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
中島 範宏 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (10567514)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 災害医療 / 精神医療 / 医薬品 / 備蓄 / セルフメディケーション |
研究概要 |
2011年3月11日に東日本大震災が発生し,多くの医療支援が被災地に対して行われた。しかし,災害拠点病院の多くが備蓄在庫の設置に大きな負担を感じており,在庫の使用ルールを定めていない医療機関が多いことが先行研究から明らかとなっている。また,東日本大震災で需要が高かった医薬品は生活習慣病系医薬品や睡眠導入剤等であったことが報告されている。 そこで,初年度は災害時における支援物資や医薬品の過不足,医療機関や製薬会社の対応について重点的に国内外の報告書や論文を調査した。主に国内の論文であるが,被災地の人工透析患者について如何に対処するかという問題提起が複数みられた。また,災害の種類や時期によって独特の病態(Tsunami LungやDisaster Hypertensionなど)があり,被災からの経過時間によって医療者が対処すべき疾病の種類が異なるという報告も複数あった。また,大きな災害を経験した自治体と経験していない自治体では備蓄物資の保管状況が異なるという指摘もあった。 次年度は一般市民のセルフメディケーションと医薬品の自宅での備蓄状況についてアンケート調査を行う予定であり,その分析のためのPCなどを購入した。またアンケートで問うべき調査項目や調査対象について検討を行った。このアンケート調査については,バイアスを減らして調査の質を高めるという点について疫学者からアドバイスがあり,調査票による調査だけでなく,薬局のデータベースを用いた調査,医療記録データベースを用いた調査などの実施についても検討を行っている。 次年度は残りの文献調査を継続して行うとともに,上記のアンケート調査等の企画について倫理審査を行い,秋ごろを目途に調査に着手する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は文献を中心とした調査を計画し,予定通り実行した。特に災害時における備蓄や医療受給の在り方について多くの文献に目を通すことができた。 また,2年目以降に計画しているアンケート調査のために,パソコン等を購入するなど,物資面での準備は順調に進んでおり,統計解析ソフトのIBMSPSSについても購入を予定している。より良い量的調査の実現のために他分野の研究者に助言をもらったり,当初は調査対象に入っていなかった製薬会社や医療材料メーカーの災害時の対応についても調べることができた。 初年度はゆとりを持った研究計画にしていたこともあり,おおむね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
2年目は文献調査を継続しつつ,アンケートなどの量的調査に着手する。本研究は学際的であるため,より良い調査が実施されるように各分野の専門家の助言を得ながら進めていきたい。得られたデータの解釈についても医薬品に関する事項は薬学の教員に相談するなどして,丁寧な考察を行うよう心掛ける。 また,企画している量的調査は大規模で大きな負担を要するため,専門業者に委託する部分と自分たちで処理する部分を明確にする。 初年度に行った文献調査や自分がこれまでに行ってきた調査を整理しつつ,研究成果については積極的に論文の執筆を行いたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は,本研究とは別に,研究期限を延長した平成23年度採択の文部科研の研究(若手研究B,課題番号:23790582)についても執行することになった。そのため,両研究に共通した関連学会への旅費や事務用品などについては,平成23年度採択の文部科研費から支出したため,本研究費からの支出は行わなかった。また,パソコンが当初の予定よりも廉価で購入できたため,次年度使用額が生じた。 生じた次年度使用額については,初年度購入したパソコンに統計解析ソフトIBMSPSSを導入するための費用として使用する予定である。 先述の平成23年度採択の文部科研は終了したため,2年目以降は本研究のみの科研執行となる。したがって,当初の研究計画と変更なく,物品や旅費の支出が見込まれている。 また,アンケート調査などの量的な研究が本格的に稼働する年度であるため,そのための費用に200万円,人件費・謝金に45万円を計上している。
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