申請者は糖尿病性腎症における自然炎症の役割を検討する中で、腎組織内でもとりわけ糸球体浸潤マクロファージ(Mf)のMRP8陽性率が高い現象を確認していた。STZ糖尿病マウスへのアンジオテンシンII投与によるアルブミン尿および糸球体MRP8発現の増加はTLR4欠損により抑制されなかった。また培養メサンギウム細胞の培養上清刺激によるMfのMRP8発現誘導はTLR4阻害薬で遮断されなかったため、糸球体内細胞間クロストークによるMRP8発現誘導はTLR4非依存性と考えられた。特に糸球体内細胞間クロストークを伴うような病態においてMRP8を標的とする治療はTLR4遮断とは異なる意義を有すると考えられた。
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