研究課題
近年、腸内環境と全身疾患との関係はさらに注目度を増している。我々は球形吸着炭を用いて、腸内環境と慢性腎臓病の関連について慢性腎臓病のモデルを用いて研究を行ってきた。慢性腎臓病ではラクトバチルスが低下し、球形吸着炭投与によりラクトバチルスが増加することが分かった。そこで我々はラクトバチルスを経口で投与することで腸管環境が改善するかについての検討を行なってきた。ラクトバチルスの投与により慢性腎臓病で低下した腸管のTight junctionが改善した。また、CRPやLPSといった炎症マーカー、インドキシル硫酸をはじめとする尿毒性物質の血中濃度もラクトバチルスを投与することで有意に改善した。ラクトバチルスがToll like receptor 2 (TLR2)を活性化することが知られていることから、TLR2の発現についても検討したところ、慢性腎臓病で低下したTLR2の発現が、優位に改善していた。同時に細胞実験でも尿毒性物質によりTight junctionの濃度依存的な低下を認めること、低下したTight junctionがラクトバチルスにより改善することがわかった。これにTLR2のブロッカーを投与することで、その発現が低下したことから、TLR2を介したTight junctionの調節機構を明らかにすることが出来た。上記の実験結果は論文にまとめ、Nephrology Dialysis Transplantationにアクセプトされた。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 4件)
Nephrology, Dialysis, and Transplantation
巻: 31(3) ページ: 401-412
10.1093/ndt/gfv353