糖尿病・肥満に至る病態の全容は明らかにされておらず、治療薬の開発のためにはそのメカニズムの解明が必須である。血管内皮機能が糖尿病発症初期から障害されていることは知られていたが、血管機能の障害が糖尿病発症や増悪の要因になるかどうかは知られていなかった。我々は血管内皮細胞由来の一酸化窒素(NO)が近隣の実質細胞(肝細胞や脂肪細胞)の健全なインスリンシグナル伝達に必須であることを明らかとした。NO流入に伴う細胞内cGMP濃度の上昇、PKGの活性化、下流分子VASPリン酸化が肥満に伴う慢性炎症の抑制やインスリン抵抗性の改善に重要であり、将来的な治療ターゲットになると考えている。
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